資金繰りが苦しくなった場合、弁済の優先順位に注意してください。金融機関に世話になった、金融機関から助言をもらっていた、今後融資を受けられることを期待して、金融機関からの借入金弁済を優先するケースを見かけます。
まず、税金や社会保険料は、滞納すると高い延滞税がかかります。金融機関は事業者の売掛金等に対して差押えをする場合、訴訟等をして債務名義 を取得してからでないとできませんが、税金や社会保険料については、直ちに 事業者の売掛金等を差し押えることが可能です。
金融機関からの借入金は、民事再生手続をすれば支払を止めることができますが税金や社会保険料は、民事再生手続でも支払を止めることができません。したがって、事業再生の見地からは、税金や社会保険料は金融機関からの借入金に対する支払よりも 優先して支払うべきです。
従業員に対する給料も、法律上、先取特権があり、民事再生手続でも 支払を止めることはできませんので、これも優先的に支払うべきです。
取引先に対する債権ですが、取引先からの仕入等は事業を継続するうえで必要ですし、財務基盤も金機機関に比べると弱いです。支払を止めて溜めていた債権の金額が大きければ取引先も連鎖倒産してしまい、結局は金融機関に多くの負担がかかってしまいます。
金融機関からは、金融機関からの借入金の弁済を優先するようにと指導されるかもしれませんが、再生面からは支払の優先順位として検討すべきです。
注意
第二会社による私的整理では優先順位も変わります
