メリット
売手にとって債務超過での事業譲渡のメリットは、事業譲渡で得た資金を債務の返済にあてるという点です。
雇用でいうと、事業譲渡や株式譲渡などいずれの譲渡方法であっても従業員の雇用は維持されることが多いです。健全な企業に譲渡されると待遇は良くなるケースもあります。
買手にとっては債務超過の企業をあえて買い取ることで、通常よりも有利な条件で譲受できることです。
売手にとってはすぐにでも売りたいという状況なので、買取金額の交渉をする際、買手が非常に有利となります。
ただし、あまりにも安く譲渡すると、詐害行為の可能性もあるので注意が必要です。
デメリット
売手のデメリットとしては、債務が全て解消できないという点です。
事業譲渡の場合、譲渡したい事業を選んで取得します。 株式譲渡による場合だと、負債もそのまま引き継がれますが、債務超過を抱えている企業をあえて株式譲渡で買い取る企業はなかなかいません。
事業譲渡という形であれば、買い手の企業は負債を引き取らずに譲受したい事業の部分だけ買い取ることができます。
したがって株式譲渡を除き、売り手の企業に債務はそのまま残ります。
売却代金で債務を全額返済できる可能性もありますが、必ずしも債務超過の状態から抜け出せるわけではありません。
また、買手にとっては、債務超過の企業ということで、通常より有利な条件で買い取ることができても、債権者から詐害行為としてみなされるというリスクもあります。
取引自体が詐害行為として裁判所に認められてしまうと、事業譲渡自体が無効となってしまいます。
とにかく債権者、売手、買手、すべての利害関係者が誠実な交渉をすることが重要です。
