社保倒産は社会保険料の滞納によって引き起こされる倒産ですが、なぜ社保倒産に陥ってしまうのでしょう。
社保倒産が起こる理由についてご紹介します。
物価高でコストが増加
製造業では特に物価高・コスト高や人手不足にの影響が大きく、中小企業が倒産に追い込まれるようになっています。
いくらコスト高だといっても商品を仕入れる必要があります。商品を仕入れるために社会保険料の支払いが滞納され、社保倒産につながってます。
(資金不足で支払いの優先順位の問題)
売上の回復ができていない
コロナ禍でどの会社も売上が下がってました。
コロナ禍は緊急事態ということもあり、国が社会保険料を支払えない会社に対して、売上が回復するまで社会保険料の支払いを猶予していました。
しかし、コロナ禍が明けて社会保険料の猶予がなくなっています。
コロナ禍前の売上までに回復していない会社も多く、社会保険料をその後も滞納し続けてしまう結果になっています。
また、猶予はあくまで、後払いで支払う必要があり、売上が回復したとしても滞納未払金分の負担は大きいです。
コロナ融資の返済開始
コロナ禍で売上が下がった事業者に対して、実質無金利・無担保で「コロナ融資」が実行されました。
2023年9月で各金融機関での受付は終了して、融資実行から3年目を区切りに返済開始企業も増えてます。
しかし、売上げが十分に回復しない中で、急激な物価上昇と人手不足の問題が出てきました。
物価上昇と人手不足によって企業が利益を上げるのが難しく、そこにコロナ融資の返済がスタートした結果、社会保険料を滞納して、社保倒産に追い込まれています。
社会保険料の値上がり
そもそも社会保険料が値上がりしていることも、社保倒産が増加している理由として考えられます。
社会保険料のうち、2023年4月納付分から健康保険料および介護保険料、雇用保険料の値上げが行われました。
例えば雇用保険料だと業種ごとに雇用保険料率が設定され、そこから保険料を計算していきます。
「一般の事業」に分類される業種では、事業主負担分が8.5/1,000だったのが、9.5/1,000まで増加しています。
社会保険料が値上がりすれば、その分事業者の負担も大きくなります。
赤字でも社会保険料の発生
法人税の場合、利益次第で納める金額が決まっていることから、経営が赤字状態になった場合は課税対象外です。
しかし、社会保険料は会社の利益と関係なく、赤字でも社会保険料を支払う必要があります。
特に社会保険料は、従業員がいればいるほど会社側の負担も大きくなります。
赤字だと従業員への給与の支払いも厳しくなってしまい、倒産に追い込まれるケースも多いです。
賃上げや人件費向上の影響
社会保険料は対象となる従業員が多ければ、その分社会保険料の負担も大きくなります。
賃上げは中小企業にとって人手不足を解消するための手段ではありますが、コロナ融資の返済や過去に滞納していた分の社会保険料を支払うための資金が不足している状況でもあります。
ここで賃上げまで行ってしまえば会社の資金が不足してしまうかもしれません。その結果、社会保険料を滞納せざるを得ない状況になり、社保倒産につながってしまいます。
