「社長の個人破産は回避」
ポイント
◎「経営者保証ガイドライン」によれば「保証人の破産」の必要はない
◎会社は倒産をする場合、経営者は経営者保証ガイドラインの債務整理手続きを活用する
◎経営者保証ガイドラインでは「社長本人名義の借入」は別
保証人の破産の必要はない
経営者保証ガイドラインに則って保証債務を整理すれば、会社を倒産させても、経営者保証をしている経営者が破産をする必要はありません。
経営者保証ガイドラインの解説を読むと、その利用についてさまざまな要件が書いてあり、一見難しそうに思えます。
実際に利用する場合は、事前に詳細な検討をする必要はありますが、それは弁護士等の専門家に確認してもらえばいいです。
経営者保証ガイドラインによる保証債務の整理を利用する要件として、 頭に入れておかなければならないことは、
会社の債務を「法的整理」か「準則型私的整理」の手続きで処理すること
法的整理とは、「破産」や「民事再生」など、法律に則って、政判所を通して会社を整理する手続きです。
私的整理とは、法律で定められた手続きではなく、債権者との協議によって債務整理を行う方法です。
そのうち、第三者機関の関与の一定の準則・ルールに基づいて実施されるものを準則型私的整理といいます。
つまり、私的整理の中でも厳格な手続きということです。
準則型私的整理の代表例は以下のとおりです。
- 事業再生実務家協会による事業再生ADR
- 中小企業活性化協議会による再生支援手続き
- 特定調停スキーム
会社を事実上廃業して放置した状態では、経営者保証ガイ ドラインによる保証債務整理手続きは利用できず、何らかのスキームで会社の債務を処理すること。
経営者保証ガイドラインによる保証債務整理手続きのメリット
経営者保証ガイドラインによる保証債務整理手続きを利用すれば、会社が倒産しても保証人は破産しなくて済みます。もっとも保証人である以上、個人財産で保証債務を弁済しなければなりません。この点は破産と同じです。
しかし、破産と比べて以下のメリットがあります。
- 「破産者」でないこと
- 信用情報に載らないこと
- 自由財産(99万円以下の現金等)を超えて資産を残せる可能性があること
どれも重要ですが、このうち、1,3は実現可能です。
3は「自由財産(99万円以下の現金等)を超えて資産を残せる可能性がある」のであり、実際に99万円の現金以上の財産を残せるかは、ケースによります。
ケース
会社の資金繰りのために社長本人が借入を行ってはいけない
経営者保証ガイドラインにより整理できるのは「保証債務」です。経営者個人のカードローンやクレジットカード債務は、この手続きでは整理できないのが原則です。
会社の資金繰りのために、経営者が個人でカードローンを借りたり、クレジットカードのキャッシングを利用することです。これは絶対に避けるべきです。
(税務署や年金事務所が支払いのため、すすめてる場合がありますが、やめた方がいいです。)
カードローン等の個人債務は経営者保証ガイドラインで処理できない場合があり、結局、破産せざるを得なかったケースになります。
まず、カードローン等を利用しないと資金繰りがつかないような状況になったら、経営者個人のカードローンを利用して会社の資金繰りをするよりも、会社を倒産させ、別の事業(会社)で再起を図ることを考えてください。
(第二会社方式)
