任意整理の対象外の債権者に対しては、支払いを続けることになりますが、その際に注意すべき点。
『偏頗弁済』
任意整理をしてすぐに、支払いを続けられなくなり、自己破産をしてしまった場合です。
任意整理後、支払いをできなくなる債務者が多く、自己破産に移ってしまうケースがあります。
自己破産に際して、特定の債権者に弁済する行為は、偏頗弁済として、否認されてしまいます(破産法162条1項)。
偏頗弁済は、破産手続開始の申し立てがあったか、支払不能になっているこに加え、債務者の主観的要件が必要です。
しかし、任意整理が開始した後は、弁護士による受任通知がなされますが、これを以て「支払の停止」に当たるとした判例があります(最判平成24年10月19日民集241号199頁)。
「支払いの停止」であれば、支払不能と推定されるため(破産法162条3項)、主観的要件さえ満たせば、任意整理開始後の対象外債権者への支払いが偏頗弁済に当たることになります
こうなると、任意整理の対象にした意味がなくなってしまいます。
任意整理の計画を立てるにあたっては、なるべく多くの債権者を対象にして、無理のない返済計画を立てる必要があります。
