債務超過を解消する方法

事業再生

債務超過に陥った際の解消方法について、5つに分けて解説します。各社の財務状況により適切な方法が異なるため、自社に合った方法で債務超過の解消してください。

1 利益を上げ黒字化を目指す

1つ目の方法は、3つの視点から会社の利益を上げていくことです。3つの視点とは、「支出を減らす」「利益を上げる」「経営状況を見直す」の3点となります。

人件費の削減や資産の売却、人員配置を変えることで生産性を上げるなど、できることはあるはずです。

ポイントは、急に収益を増やすのではなく、「無駄な費用を減らす」ことです。

地道なやり方ではありますが、最も現実的で効果的なやり方です。この手法で利益を上げ続けていけば、黒字経営の継続、そして債務超過からの脱却につながります。

2 増資する

経営者本人による出資、会社役員からの借入金を資本金に切り替えるなどの方法を取れば、資本金を増やし、債務超過の状態を解消することが可能です。

しかし、課税額や、新株の発行による株主比率の変動が発生する点には注意が必要してください。

また、経営者に出資する余裕がないという点にも懸念が残ります。

増資による債務超過からの脱却は一時的なものである点です。黒字経営を継続して順調に利益を上げていかない限りは、再び債務超過に陥るおそれがあります。必要に応じて、増資すること自体はいいですが、会社として根本的な経営体制の改善にも力を入れるべきです。

3  資産を売却する

債務超過状態の根本的な解決には至らないかもしれませんが、確実に負債を減らす手法としては有効です。

特に、「遊休資産、不良資産」と呼ばれるその時点において事業に使用されていない資産を売却してください。

「今は使っていない事業用車両」や「権利だけ保有している空地」など、動産・不動産にかかわらず使う予定のない資産は売却して、貸借対照表に実際に計上できる資産にするのがおすすめです。

取得時価額よりも時価が上がって売却益が発生する可能性もあります。

4  DES(デット・エクイティ・スワップ)を利用する

DESは「債権者との同意の上で、負債を株式に引き換え債務超過を解消する手法」です。債務超過状態にあった会社としては「資本の増加」による債務超過からの脱却が、債権者としては「株式の取得による経営への参入」などのメリットが期待される手法です。

こちらも経営状態の見直しを通じて根本的な解決を図らなければ、一時的な解消にとどまってしまう点には注意が必要です。

5 法的手続きを適用する

4つの手法で債務超過の解消を図ったり、会社経営の根本的見直しをしたりしてもなお経営が立ち行かない場合は、最後の手段として法的手続きの適用を検討しましょう。

会社再生の手続きは、破産のように会社の清算を目的としておらず、会社の再生を目的としています。 会社再生の法的手続きには2種類あり、1つは「民事再生法」です。中小企業向けの法律で、原則として経営陣が交代する必要はありません。

もう1つは「会社更生法」で、株式会社に限定された法律となっています。該当する会社が倒産することによる、関係各社、および社会に対する悪影響を防止するための法で、事実上、大企業向けの法律です。

原則として経営陣全員の退陣が求められます。

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アーク司法書士法人 代表社員 李永鍋

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