代表者への貸付金を金融機関はどうみるか?

資金繰り

保証協会の保証付き融資の追加を銀行に申込むと、「BS上の「社長貸付金」を保証協会が警戒している」と言われ断られた。

ポイント

◎返済の継続性、確実性に重点を置いた返済予定(社長→会社) を提出する

信用保証協会が経営者に対する貸付金を警戒するもので、比較的よく見かけるケースです。

(他にもグループ会社への貸付け)

金融機関の判断基準

BSの資産に計上される貸付金には、銀行のみならず信用保証協会も目を光らせています。

これは、保証協会の保証付き融資を受ける一方で、 貸付金が社外に流出すれば、資金使途違反に該当する可能性があるからです。

経営者に対する貸付金は、以下のようにマイナス面なものが大半で、 回収が困難になっていることが多いため、特に警戒されます。

・公私混同

・ずさんな経理処理

・利益水増、赤字隠しの為、経費を貸付金として処理

・経営者個人の借入返済資金や株購入資金などを貸し付けたもの

会社の対応と注意ポイント

銀行と信用保証協会に、経営者から会社への返済計画を提出し、「今後、会社から経営者への貸付金が減っていく」旨を伝えることが必要です。

貸付金が完済される時期など、返済予定を明確にできれば、融資を受けられる可能性はあります。

まとまった金額の返済が困難な場合、経営者からの返済は、銀行に実績を示しやすい毎月返済とし、金額は役員報酬をもとに検討してください。

会社の利益から役員報酬を定め、経営者の手取り収入から生活費などを差し引いて毎月の返済額を決めます。

毎月の返済額は多いほうが良いですが、無理のある金額を設定して予定どおり実行できないと次の融資に影響します。継続可能な返済額を提示してください。

返済が何年で終わるかということ以上に、返済の継続性、確実性が重視されるのがこのケースの特徴です。

また、社長が意識すべきは、会社が融資を受けられたとしても、代表者への貸付金は、融資において経営者保証を銀行が求める正当な理由になることです。代表者への貸付金があると経営者保証を外しにくくなります。

代表者に対する貸付金は税務面でも注意を要します。役員や従業員に対する貸付金については、合理的と認められる利率で利息を徴収しないと、個人に所得税が課税されかねません。

役員の場合、役員報酬または賞与の支給とみなされ、定期同額役員給与の要件を満たさないことから会社側も損金算入できないリスクもあります。

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アーク司法書士法人 代表社員 李永鍋

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