資金繰りについて悩む日々が続いています。
資金確保のため、銀行に定期預金の中途解約を申し出たところ、「定期預金は満期が来ないと解約できない」と言われました。これまで銀行への 「返済が遅れたことは一度もありません。
ポイント
- 定期預金規定では、中途解約できない(例外、やむを得ない事由のある場合)
- 定期預金は中途解約できるのが商慣習
- 債権保全上、問題がないのに銀行が中途解約に応じないのは、独占禁止法上問題
金融機関の考え方
定期預金の解約を断る銀行の狙いは「保全」にあります。担保ではないものの、実質、融資見合った担保と考えています。
銀行としては、保全の必要性が強い取引先と、 「万が一に備えて保全をしておこう」とういう保全が中程度の取引先があります。
どちらかにより、銀行の定期預金解約拒否の加減は異なります。
後者の場合、銀行としては、「定期預金を解約するくらいであれば、 借り増してほしい」と考えることもあります。
企業の対応とポイント
定期預金の中途解約を、債権保全の必要性がない状況で、銀行が断ることは独占禁止法違反です。
定期預金規定には「この預金は、当行がやむを得ないと認める場合を除き、満期日前に解約することはできません」という文言が入っています。
しかし、定期預金は、満期日前であっても中途解約ができることが商習慣となってます。
解約に応じないのは、2006年6月に公正取引委員会から公表された「金融機関と企業との取引慣行に関する調査報告書」によれば、「債権保全に必要な限度を超えて、融資に当たり定期預金等の創設・増額を受け入れさせ、又は預金が担保として提供される合意がないにもかかわらず、その解約払出しに応じないこと」は独占禁止法上問題となる行為とされています。
解約に応じないのは独占禁止法上問題となることを指摘し、粘り強く交渉すれば、銀行は定期預金の中途解約に応じるのが一般的です。
銀行から、「資金が必要でしたら追加で融資しますよ。だから定期は解約しないでください」と言われるかもしれません。
その場合は、「追加融資は金利がもったいない」と言って断れば、それ以上は銀行としては解約を拒めません。
(銀行の顔をたてて、預金内で融資を受けるのもいい)
独占禁止法違反の点を指摘しても応じない場合は、銀行として債権保全上、定期預金解約に応じない合理的理由があると考えている場合です。
実際に会社の経営状況が悪い場合(例えば、実質的に債務超過の場合など) は中途解約に応じてくれなくても仕方がありません。
資金繰りが厳しくなる前に、融資元銀行の定期預金は解約しておきましょう。
※定期預金に担保権が設定されていない場合で、かつ中途解約の場合です
