一部の事業を残して別会社に承継させる
会社の清算手段である特別清算も、他の方法と併用す ることで、 事業再生に役立つ場合があります。 会社の黒字事業だけを切り取って別会社に承継し、残った債務については、特別清算で清算処理をす るというスキームです。
参考事例
株式会社Aとその子会社であった株式会社a (ともに印刷業) の事例が、参考になります。
Aは、 本社工場の増築、 印刷機械の購入など設備投資を行いないましたが、予定していたほどの売上がなく、結果、借入金の返済に窮しました。
子会社であるaも、同様の設備投資や、 新規事業への参入を行ないましたが、 売上が伸びず、 経営難に陥って しまいました。
この2つの会社は、印刷事業において、高性能の機械設備、企画・デザインから印刷までの一貫請負体制を持つ企業として、多くの顧客を有しています。
また、仕入先・外注先についても、その約8割が県内事業者で、地域経済に貢献してました。
そこで地元の地銀と、主力スポンサーも確保することができました。
専門家の支援を得て、金融機関等の債権者間の調整、スポンサー と債務者との間を調整したうえで採用されたのは、「第二会社方式」 という再生方法でした。
会社が有する優良な印刷事業を、 会社分割と 事業譲渡というM&Aの手法により、 それぞれスポンサーが設立した新会社とスポンサーの子会社に承継させ、承継後の会社については解散のうえ、特別清算により清算手続きを行なうというものです。
会社分割により事業を承継した新会社は、スポンサーからの出資を受けるとともに、 銀行から運転資金の融資を受けることで、当面、資金繰りのメドを立てることがで きました。
承継後の会社 は、特別清算手続きをとり、そのなか で、不動産等を任意売却して負債の返済に充当し、 残った債務については、債権者との協定により免除を受けることで、特別清算手続きを終了させました。
優良事業を第三者に承継して事業を継続、再生することもできます。
