土地を数年前に売却処分したことが原因で、債務超過の状態にあります。借入の大半は、土地の取得時に銀行から借り入れたもので、金利は4% (現在無担保)です。
直近2年間は経常赤字を計上し、資金繰りも苦しい状況です。
金利を2%に下げてもらえれば黒字に転換します。
ポイント
銀行が金利の引下げに応じる条件を知って交渉する
赤字の続いている会社が、銀行に対して金利の引下げを依頼する事例
債務者区分のランクアップにつながる場合は、金利引下げに応てくれることがあります。
銀行の判断基準
銀行に金利を下げてもらうのは、そう簡単なことではありません。
銀行は、元金の返済猶予には応じても、利息収入まで減らすわけにはいないと考えます。
しかし、事例の場合、債務超過の原因は土地購入によるものです。赤字や債務超過に至った原因がはっきりしていますから、なんとかしたいと銀行が考えやすい状況です。
また、銀行として一番困るのは取引先企業が倒産をすることです。このままでは倒産の確率が高いが、金利を引き下げれば何とかなるような場合なら、金利引下げのメリットが銀行にあります。
会社対応ポイント
金利引下げの交渉は、債務者区分の内容をある程度理解してから進めてください。
債務者区分には、「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」 「破綻先」があり、区分が下がるほど銀行は多額の貸倒引当処理や債権償却を行わなければなりません。
事例は、債務超過、2期連続の経常赤字で、資金繰り難の状況、すでに「破綻懸念先」(経営破綻に至る可能性が高い債務者)で、 銀行にとって不良債権になっています。
このまま赤字が続けば、いずれは「破綻先」となり、債権全額の償却を強いられます。
しかし、金利の引下げに応じて黒字化すれば、5~10年で経営を安定させる経営改善計画を策定し、債務者区分を「破綻懸念先」から「要注意先」(不良債権として開示する必要のない「その他要注意先」)までランクアップの可能性もあります。
破錠懸念先の場合、保全されていない債権の60~70%の貸倒引当金を積んでます。
「その他要注意先」だと貸倒引当金は2~5% でいいので、破綻懸念先からその他要注意先までランクアップすると、 貸倒引当金を戻し入れることができます。
貸倒引当金の戻し入 れにより、銀行は利益計上することができます。
よって、本事例では金利引下げに応じる見返りとして、 銀行に決算上のメリットが生じます。
